佐藤恭子リトルオーケストラ「Momentary」「Everlasting」リリース!!




佐藤恭子リトルオーケストラ「Momentary」
(CLVS-1001 価格2,778円+税)
personal:
佐々木史郎(tp,flh #1,2,5,6) 田沼慶紀(tp,flh #3,4)石川広行(tp,flh)
和田充弘(tb,#1,2,5,6) 駒野逸美(tb #3,4)
土井徳浩(cl,as,ss) 吉本章紘(ts,fl,cl)
鈴木圭(bs, b-cl,fl #1,2,5,6) 竹村直哉(bs, b-cl, fl #3,4)
寺屋ナオ(g)佐藤浩一(p) 安田幸司(b) 則武諒(ds)
佐藤恭子(cond, voice)


佐藤恭子リトルオーケストラ「Everlasting」
(CLVS-1002 価格2,778円+税)
personal:
佐々木史郎(tp,flh ) 石川広行(tp、flh) 和田充弘(tb,)
土井徳浩(cl,as,ss) 吉本章紘(ts,fl,cl) 鈴木圭(bs, b-cl,fl, alt-fl)
寺屋ナオ(g) 佐藤浩一(p) 安田幸司(b) 則武諒(ds)
佐藤恭子(cond, as, voice)




全国のCDショップ、インターネットなどで購入可能ですが、下記、リリースキャンペーンやってますので、こちらのご利用おすすめです!

①タワーレコード渋谷店にて「Momentary」「Everlasting」2枚同時購入頂いた先着10名様に、5/13(水)アルバムリリース記念ライブ@渋谷JZBratの招待状をプレゼント!

②タワレコ全店、山野楽器にて2枚同時購入いただいた皆様に、リトルオケオリジナルステッカーをプレゼント!

③5/13レコ発メンバーの皆さんからライブ会場などでの直接購入は、ステッカー+各々からのプレゼント(先着限定数)あります。

④e-onkyoハイレゾアルバム配信からの購入は、デジタルブックレットをプレゼント。




日本のitunesでの購入は、それぞれ、
Momentary
https://itunes.apple.com/jp/album/momentary/id968713449
Everlasting
https://itunes.apple.com/jp/album/everlasting/id968752552



ハイレゾ配信e-onkyoさんでのアルバム購入では、デジタルブックレットのプレゼントがあります!
■Momentary
http://www.e-onkyo.com/music/album/clvshd1001/
■Everlasting
http://www.e-onkyo.com/music/album/clvshd1002/



amazonでの購入はこちらから。

Momentary (CLVS-1001) - Kyoko Satoh and her LITTLE Orchestra

Everlasting (CLVS-1002) - Kyoko Satoh and her LITTLE Orchestra









大谷能生「Momentary」ライナー 

ジャズにはもう100年の歴史がある。港町の路上でダンスと共に吹き鳴らされていたブラスバンド・ミュージックが、ミシシッピ川を遡って都会の潜り酒場に入り込み、アレンジとアンサンブルをゲットしてアメリカのメジャー舞台に上がって、第二次大戦中に生まれたビバップとともに急進的な芸術性を身に付け、ポップスとアート、メジャーとマイナー、ダンシングとシンキングに引き裂かれながら、この音楽は二〇世紀という複雑な時代を体現し、生き抜いてきた。不屈の個性派ばかり揃ったジャズメンたちが、この一世紀のあいだに蓄えてきたジャズの音楽的知恵と技術は膨大である。そして、もっぱら現場において伝承されてきたそれらの成果は、八〇年代の半ばから徐々に体系的に整理され、分析され、教育を受けることによって音楽を志す誰もが身につけることの出来るコモン・センスとして、現在、ポピュラー音楽家を支えるひとつの糧となっている。21世紀の現在、ぼくたちの前には、さまざまなものを耕す事ができる音楽的沃土がすでに十分に広がっており、だからこそ、そこからあなたは何を掴み取ってくるのか? という問いに答えることが、音楽家としての最初の仕事となるだろう。2014年は、おそらく、30歳前後のジャズ・ミュージシャン(ロバート・グラスパー、マーク・ジュリアナ、ティグラン・ハマシャン……などなど多士済々だ)たちが、ジャズ100年の武器庫のなかから自分に相応しいサウンドを取り出し、磨きをかけ、アップ・トゥ・デートなかたちでそれらを十分に響かせることに成功した年として、記録されることだろうと思う。佐藤恭子の「Kyoko Satoh and her LITTLE Orchestra」名義によるこの二枚のアルバム「Momentary」/「Everlasting」は、このような新世代のジャズ・ミュージシャンたちの動きとシンクロしながら、自身の可能性を「作・編曲」に求めた意欲作である。ソリストのアドリブ・スタイルの変遷を、ながらく歴史の縦軸に置いてきたジャズ・ミュージックにおいて、作・編曲、特に編曲という作業は正当に評価されることの少ない、いわば「その他」扱いされることが多かったジャンルだったと思う。「ジャズの本質」をプレイヤーの即興能力に置くならば、あらかじめ演奏することを決めておく「アレンジ」というものの価値は切り下げられざるを得ず、実際、モダン・ジャズの大隆盛時代だった五〇年代後半から六〇年代後半にかけて、ジャズは他のポピュラー・ミュージックと差異を強調するために、たとえば、スコアにまったくたよらない表現の拡張を推し進めることに熱中した。急進的な時代にあって、それはひとつのはっきりとした価値であった。しかし、当たり前の話ではあるが、なんの楽譜も使わない演奏という選択も、それ自体でひとつのアレンジである。どんな編成で、誰と何を、誰に向けて演奏するのか、ということを決めることから「編曲」という作業ははじまっており、また逆に、どれだけ細かい譜面の用意された曲であっても、ジャズにおいてはそこに必ず現場におけるプレイヤーの自由が写しこまれている。20世紀最大の編曲家のひとりであるギル・エヴァンスは、自身のアルバム『Into the Hot』を、セシル・テイラーとジョン・キャリシのサウンドでリリースした。この選択もまたアレンジのひとつだ。ソロとアンサンブル、和声と旋律、エゴと協調、均整と破格の重さのあいだを自由に行き来しながら音楽を奏でることのできるビッグバンド・スタイルのジャズは、アメリカ音楽が生んだ最大の発明品だと思うが、佐藤恭子は11人編成の「リトル・オーケストラ」というスタイルでもって、このフィールドにあらたな収穫を付け加えようと試みている。ブラス3、リード3、4リズムとコンダクター(兼サックス)という編成は、古くはコットン・クラブにはじめて登場した時のエリントン楽団とほぼ同じである。これはストックアレンジ用の、いわゆる「九ピース譜」をリアライズ出来る、もっとも小さなビッグバンド編成のオーケストラだと言えよう。しかし、彼女のアレンジは、楽器を束として鳴らすに当たっての指向が、クラブやボールルームで客をストンプさせてきた楽団とは基本的な部分で大きく異なっている。具体的に言うならば、フレッチャー・ヘンダーソンからベニーグッドマン楽団に繋がり、その後の多くのビッグバンド・サウンドのアレンジの基本となっている「ブラスとリード・セクションの対立および合奏」という発想は、彼女のリトル・オーケストラのなかには殆ど見られない。例えば、ジミー・ランスフォード楽団の見事なソリの応酬によるグルーヴは唯一無比のものだが、佐藤恭子は、分厚く塗られた油絵具による重たい手触りよりは、ひと刷毛音が重ねられるごとにその色合いが微妙に変化してゆく、ほとんど水彩画的なありかたでもってこのオーケストラのサウンドを構築しているように思う。簡単に言うと、このバンドにはリードとサブ、第一と第二奏者の区分が存在せず、セクションという発想自体がほぼ見られない。各プレイヤーがそれぞれ(リズム隊も含め)取替のきかない独自の色彩と質感を持った絵筆として、彼女のパレットに集められているのである。彼女は好きな作曲家にアーロン・コープランドとストラヴィンスキーの名前を上げているが、たとえば「兵士の物語」における、ひとつの楽器をそのままオケの一パートとして響かせる手法は、リズム・セクションのそれぞれも含め、一つの色彩・一つの独立したラインとして紡いでゆくこのオーケストラのあり方と共通するところがあるだろう。以下、楽曲に沿いながら、二枚のアルバムの音楽的内容を確認してゆくことにしたい。
「Momentary」のライナーノーツでは、彼女のリトル・オーケストラがジャズの歴史のなかのどのような場所にあるのかを書いてみた。ここから先はアルバムの楽曲に即しながら、実際にどのようなサウンドがここで鳴り響いているのかを記述してみたい。ここまで書いてきて、佐藤恭子のプロフィールをまだ何も提示していないことに気が付いたが、インターネットに情報だけは氾濫している現在、アルバム購入者に直接読んでいただけるこのような貴重な場所を、どこでも読めるようなデータで埋めることもないだろう。実際にこのオーケストラのサウンドを聴いていることを前提に書いてゆきたい。この二枚のアルバム「Momentary」/「Everlasting」の楽曲は、2014年初頭に短期間のレコーディング合宿をおこなって、一挙に録音されたものだと言う。とにかくまずレパートリーを記録してしまい、その後あらためてアルバムとしてのかたちを整えよう、ということだったのだと思うが、結果としてそこから二枚のアルバムが作られることになった。他にどのようなマテリアルがその合宿で録音されたのかは不明だが、ここに収められてた楽曲/演奏は確かに粒揃いで、どちらから聴き始めても十分にこのバンドのサウンドを楽しめるものとなっている。「Momentary」の冒頭、「Red ladder and the blue planet」は、フーガ的な主題からはじまり、次のメロディーによって自然にハーモニーが上下に広がって、回帰したメロディーと重なってまた異なった調へとスリップし、自然にブレイクまで辿り着くアレンジが素晴らしい。前半のソロはベースの安田幸司とギターの寺尾ナオ。特にギター・ソロは(メセニー・ライク過ぎる感も若干あるが)バッキングの変化を受けながら十分に唄っており、その後に出てくる和田充弘のトロンボーン・ソロも、サステインを生かしたフレージングがアレンジに良く映えている。
この曲に限らず、佐藤恭子のアレンジはソロ楽器の特性を念頭において仕上げられており、たとえば「ToyBoxBlues」における土井徳浩のクラリネットは、隙間の多いリズムの上で洒脱に振る舞い、エリントン/ストレイホーンのアレンジした「くるみ割り人形」を思い出させるサウンドが、ジャズにはクラリネットがあるじゃないか、とあらためてこちらを思わせる楽しさがある。「…and I listen to the ocean blue」のアルト・ソロ、「Just Friends」のバリトン・ソロも聴き応えがありますね。6拍と5拍のメロディーを持つ「RabbitOnTheMoon」は、アニメの映画音楽などにも取り上げられそうなキャッチーな出来で、菅野よう子的な仕事もこのリトル・オーケストラは受け持つことが出来るかもしれない。ジャズとポップスの狭間はいま、どこにあるのか? 映像が付帯する音楽にはそのようなクリティックがつきまとうので、ぼくは「そういった仕事はどんどんやった方がいい」派だ。アルバム「Everlasting」の中心に置かれているのは、ピアノの佐藤浩一との共作した組曲『Metamorphose』。ジャズにおける「組曲」もので成功した例は数少なく、龝吉敏子の『insights』における『水俣』、エリントンの『ア・ドラム・イズ・ア・ウーマン』、それに、ジョージ・ラッセルの『ニューヨーク、ニューヨーク』ぐらいしか、すぐには思い出せない。組曲に必要とされるのは楽曲同士を結びつける(または切り離す)ドラマトゥルギーであり、いわば脚本家と編集者を兼ねた能力がそこでは求められる。複数の主題を平等に、時には無関係に取り扱う作業を通して、鳴らされた音ははじめて一固まりの層=組曲としての感動を得ることが出来る。『Metamorphose』はどうか? エッシャーの絵画のモノクローム性、具象と抽象の合間を縫ってゆくグラディエーションの感覚は良く出ていると思う。漸次的に変化してゆく主旋律とその彩りのつづれ織り、ということで考えれば、part2から3への展開などはとても上手くいっているだろう。だが、組曲ということであれば、自然な変化だけではなく、エッシャーの絵のなかにある宙吊り感、突然の裂け目や逆走、根本的に異なったモチーフ、相容れないものどうしの緊張とつばぜり合いと緩和、最初からあったけれども、最後にならないと聴き取れないリズムの歪み、などがもっと聴きたいと思ってしまった。これは贅沢なことだろうか? いや、彼女ならそれほどの困難はなく出来ることだと思う。龝吉敏子という名前をぼくはいま書いた。佐藤恭子のバークリー音大の大大先輩にあたる龝吉の『塩銀杏』をレコード棚から取り出して、プレイしてみる。一九七八年に吹き込まれた、アキヨシ=タバキン・バンドの充実作で、勢いと余裕のある素晴らしい吹き込みである。龝吉敏子と佐藤恭子のジャズを一緒に聴くことが出来るということ。こうした場所にぼくたちはいま立っている。手間と元手が大変に必要なジャズ・オーケストラのサウンドに、これまでよりもっともっと多くの人が耳を澄ませることを期待している。